💧 融点こそ、旨い肉の原点
―― 人肌でとろける幸福 ――
テレビのグルメ番組でレポーターさんが言う、
「このお肉、とろけますね〜!」
その言葉の裏には、科学的な理由があります。
それが、“融点”=脂が溶ける温度です。
🔹 融点とは?
お肉の脂が固体から液体に変わる温度、それが融点です。
一般的な牛肉は約40〜45℃ですが、
黒毛和牛の融点は30〜35℃。
つまり、人肌の温度で自然に溶ける──これが「とろける」の正体です。
🔹 “香り”は、融けることで生まれる
和牛の脂は、溶け始めた瞬間に香り成分(和牛香)を放ちます。
固体のままでは感じられない“香ばしい甘み”が、35℃付近で一気に立ち上がるのです。
そのため、
「香る焼肉」こそ、最も贅沢な焼き方
と言えます。
三階松では、この融点を最大限に引き出すために、
肉の厚み・切り方・塩の粒子をすべて計算しています。
火を通しすぎず、ちょうど脂が「香りに変わる瞬間」で止める。
それが“人肌でとろける幸福”です。
🔹 融点が低い=おいしいお肉の条件
胃もたれするお肉は、脂の融点が高く、溶けきらないために重たく感じます。
一方、融点が低い黒毛和牛は、体温でスッと溶け、口に残らない。
食後の余韻が軽く、香りが長く続く──それが上質な和牛の証です。
| 牛の種類 | 脂の融点 | 特徴 |
|---|---|---|
| 黒毛和牛 | 30〜35℃ | 人肌で溶ける。香りが華やかで余韻が軽い。 |
| ホルスタイン種 | 40〜45℃ | 脂が重く、焼くと香りよりも油分が強く出る。 |
| 輸入牛(グレインフェッド) | 45℃以上 | 脂が固く、焼いても溶けにくい。 |
「とろける、という言葉には科学がある。
人肌で溶ける脂こそ、和牛が“生きていた証”なんです。」
── 三階松 店主・松下





