肉の目利きとは何か。精肉店出身の店主が「これだけ見れば分かる」と言った、仕入れの基準

肉の知識コラム / 目利き・仕入れの哲学

「A5=美味しい」の先にある、
肉屋の目利きの話

脂の色・赤身の締まり・香り——昭和10年創業の精肉店が仕入れで見る3つのポイント
昭和10年創業・精肉店直営 牛1頭買い・希少部位 みかわ牛・体験型焼肉
「A5ランクだから美味しい」——そう信じて焼肉店を選んだ経験は、きっと一度や二度ではないはずです。

でも、同じA5ランクでも「あの店のほうが断然美味しかった」と感じたことはありませんか。「希少部位」と書かれていたのに、何がどう希少なのか最後まで分からなかったことは。

多くの方が、肉の良し悪しを「等級」と「値段」だけで判断しています。三階松の店主・松下は、昭和10年創業の老舗精肉店「松下精肉店」の後継者として生まれ、幼少期から牛肉の目利きを身につけてきました。その松下が「これだけ見れば分かる」と言う仕入れの基準を、今日はできるだけ正直に書いてみたいと思います。
こんな方におすすめ
  • 「A5=美味しい」以外の肉の判断基準を知りたい方
  • 希少部位という言葉の本当の意味を理解したい方
  • 精肉店直営の焼肉店でしか体験できない仕入れのこだわりに興味がある方
  • 接待や記念日に「理由を語れる肉」を選びたい方
  • 蒲郡・三河エリアで本物の和牛を食べられる店を探している方

「等級」は美味しさの地図ではなく、脂の量の目安に過ぎない

A5、A4、B3——牛肉の格付けは、多くの方にとって「美味しさの序列」に見えます。しかし実際には、このアルファベットと数字は「歩留まり等級(肉の取れる量)」と「肉質等級(霜降りの度合いなど)」を組み合わせたものです。つまり、A5は「1頭からたくさん肉が取れて、霜降りがきれいに入っている」という意味であり、「食べて美味しいかどうか」を直接保証するものではありません。

松下がよく口にする言葉があります。「本当に旨い肉は、脂の質で決まる」と。霜降りの量が多くても、脂が融ける温度が高ければ口の中に残り、重さを感じます。逆に霜降りが控えめに見えても、脂の融点が低く、舌の上でさっと溶ける肉は「旨い」と感じる。等級の数字はその違いを教えてくれません。

精肉店で長年牛と向き合ってきたからこそ分かる「脂の色・艶・融け方」——これが三階松の仕入れの出発点です。牛に何を食べさせ、どんな環境で育てたか。そこまで遡って初めて、脂の質が見えてくると松下は言います。

「牛1頭買い」をする理由——希少部位は、選ばないと手に入らない

スーパーや一般的な焼肉店に流通する肉は、大半が部位ごとに卸業者を通じて仕入れられます。カルビはカルビだけ、ロースはロースだけを必要量まとめて購入する。それが一般的な仕入れの形です。

三階松が牛1頭買いにこだわるのは、その流通ルートでは出会えない部位があるからです。みすじ・ランイチ・カイノミ・ざぶとん——1頭の牛からわずかな量しか取れないため、部位売りの流通には乗らない。だから一般の焼肉店のメニューには並ばないのです。

1頭まるごと仕入れるからこそ、そういった部位も「自分の目で確認してから使う」ことができる。昭和10年から続く精肉店の目線で、その日の1頭の状態を見極め、どの部位をどう使うかを判断する。「仕入れは調理の前から始まっている」という感覚が、精肉店直営だからこそ三階松に根付いています。

✓ ここまでのポイント
  • 牛肉の等級(A5など)は霜降りの量を示すものであり、美味しさの絶対基準ではない。脂の質・融点こそが旨さを決める
  • 牛1頭買いをするからこそ、一般流通に乗らない希少部位を仕入れ、提供できる
  • 精肉店直営の三階松では、「等級より中身を見る」という目利きの視点が仕入れの基準になっている
「理由を語れる肉」を体験する
「なぜこの肉なのか」を語れる店で、
食事をしてみてください。

目利きの実践——松下が「これだけ見る」と言った三つのポイント

では具体的に、三階松の松下はどこを見て肉を選んでいるのか。長年の経験を経て今も変わらない基準として、松下が挙げるのは次の三点です。

ポイント ①
脂の色と艶
良い脂は白ではなく、乳白色から淡いクリーム色をしています。鮮度が落ちたり飼養環境が良くなかったりすると、脂は黄味がかる。色だけで「この牛の育ちが見える」と松下は言います。
ポイント ②
赤身の締まり方
スライスしたときに肉がしっとりとまとまっているか。水っぽくぱらけるような肉は、牛がストレスを受けていたサインであることが多い。赤身の締まり方は、牛が「どう生きたか」の記録でもあります。
ポイント ③
香りのクリーンさ
新鮮な和牛は、獣臭ではなく甘みのある穏やかな香りがします。この香りの質は、与えた飼料の内容に大きく左右される。松下が「牛の餌とストレスで肉の旨さは決まる」と言うのは、この香りを嗅ぎ続けてきた経験からきています。

等級表には載らないこの三点を、精肉店で幼少期から積み重ねてきた感覚で判断する。それが三階松の「肉屋の目利き」の正体です。

「A5=おいしい」と思っていたが、それは見た目だけの判断で、実際のお肉の旨さは脂が決めてということを教えてもらえた。お肉のおいしさは牛にどんな餌を与えるか、ストレスなく育てるかで決まるということも初めて知った。

(50代・男性)

「物語を食べる」という体験——三階松の食卓で起きること

仕入れの基準を知ると、食卓での体験が変わります。三階松では、コースで提供する肉について部位の説明・焼き方の理由・塩の選び方を丁寧にお伝えしています。「焼く順番にも意味があり、火加減にも理由がある」という話を聞きながら食べると、同じ一切れが全く違う重みを持ちます。

40種類の塩バイキングも、単なる「変わった演出」ではありません。脂が濃い部位には、ミネラルの強い塩を合わせると脂の甘みが引き立つ。赤身のしっかりした部位には、さらりとした塩が肉本来の味を邪魔しない。塩の種類を変えることで、同じ肉が全く異なる表情を見せてくれます。

「一般的にカルビ・ロース・ハラミ・タンしか知らなかったが、部位ごとに切り方・焼き方が違うと分かった。それは三階松での食事が、ただの食事ではなく『肉を知る体験』だからです。」

三階松ご来店のお客様

「肉屋直営と聞いていたが、実際に希少部位の説明を受けて納得の美味しさだった。精肉店直営ということもあり、お肉の知識を学べた。」

40代・男性

まとめ——「なぜこの肉なのか」を語れる店で食べてほしい

肉の目利きとは、数字で証明できるものではありません。脂の色、赤身の締まり、香りのクリーンさ——牛1頭と向き合い続けた時間の中に蓄積される、経験と感覚の集積です。

三階松は、昭和10年創業の精肉店が母体であり、店主・松下はその直系として育ちました。等級だけに頼らない仕入れの眼差し、一般流通に乗らない希少部位を届けられる精肉店直営という立場、そして「料理の前から始まる仕事」への誠実な姿勢——それが22年間、この店が蒲郡に根を張り続けてきた理由です。

接待・記念日・大切な方へのおもてなし——「なぜこの店を選んだか」を自信を持って話せる場所で、食事をしてみてください。

店舗情報
店名和牛焼肉 三階松(わぎゅうやきにく さんがいまつ)
住所愛知県蒲郡市港町9-9
電話0533-67-0129
アクセスJR・名鉄蒲郡駅 南口より徒歩約3分
営業時間ランチ 11:30〜14:00(完全予約制・前日までに要予約)
ディナー 17:00〜22:00(最終入店21:00)
定休日月曜(火曜はランチ休み)
駐車場専用9台(無料)、近隣コインPあり
個室8〜10名 / 20〜30名(5,900円以上・8名以上で個室料無料)
ご予約・ご相談はこちら
当日の内容やご要望もお気軽にご相談ください。
スタッフ一同お待ちしております。
和牛焼肉 三階松 愛知県蒲郡市港町9-9
JR蒲郡駅南口より徒歩約3分 / 専用駐車場9台
火 17:00〜22:00 / 水〜日・祝 11:30〜14:00・17:00〜22:00(月曜定休)
※ランチは前日までの完全予約制(予約のない日は休業)