なぜ焼肉は“タンから始める”のか?

「焼肉といえば、まずはタンから」
そんな声を聞いたこと、ありませんか?
でもなぜ、みんな“とりあえずタン”なのでしょう?
居酒屋の「とりあえず生ビール」みたいなノリ…と思ってしまいそうですが、実はそこに、焼肉の世界ならではの理にかなった理由が隠されています。
三階松では、最初にお出しするのは決まって「タン」です。
それは、味にも体験にも、大きな意味があるからです。
タンは「味覚のスタートライン」を整える部位
タンは牛の舌=筋肉。脂肪が少なく、あっさりとした味わいで、火を入れることで香ばしさが際立つ部位です。
脂の甘みや濃厚さが主役のカルビやロースと違い、タンは味の輪郭がシャープで、塩との相性が抜群。
舌の感覚を整えるのにぴったりなんです。
たとえば──
いきなり脂たっぷりの部位を食べてしまうと、舌が“脂の膜”でコーティングされて、繊細な赤身の旨みが感じづらくなってしまいます。
だから三階松では、「舌をチューニングする」という意味で、まずタンから食べていただく。
これは、ただの順番ではなく、“味の旅”を楽しんでもらうための準備運動なのです。
「塩×タン」が伝える、香りと歯ざわりの美学
さらに、三階松ではタンは塩でお召し上がりいただきます。
塩を振ることで、肉の表面が引き締まり、焼いたときにパリッと香ばしく仕上がります。
そして噛むほどに、“香りが鼻へ抜けていく”感覚。
「香りが立ち上がる焼肉って、初めての感覚でした」
「噛んだ時に“ザクッ”とくるあの歯ざわりがクセになる」
そう、“香り”と“食感”を楽しめるのが、タンの最大の魅力なんです。
舌を整える → 香りを味わう → 赤身で極まる
焼肉には、順番があります。
それは「おまかせ」でも「コース」でも、美味しさのストーリーを組み立てる順番。
三階松では、以下のような順でご提供しています:
- 【タン】で舌を整え、香りを味わう準備を
- 【赤身】で肉本来の旨みを感じ
- 【脂身】で満足感を引き上げる
- 【〆もの】で余韻を整える
この順番を知らないまま食べるのは、
コース料理をスープからではなくデザートから食べるようなものかもしれません。
お肉の“旅”は、タンから始まる
お肉の世界は、ただ焼いて食べるだけでは見えてこない奥深さがあります。
味わいの設計、香りの立ち上がり、塩との対話、部位ごとの焼き加減──
まるでワインやお茶の世界のように、繊細で、豊かな旅が広がっているのです。
その旅のスタート地点が「タン」なのです。
今日からあなたも“焼肉通”の一歩を
「なぜ焼肉はタンから始めるのか?」
その理由を知ってしまったあなたは、もう“ただの焼肉好き”ではありません。
ぜひ次回、三階松で「タンから始まるお肉の旅」を体験してみてください。
舌と心が整った状態で味わう焼肉は、きっと“ひと皿の奥行き”が変わるはずです。


